金属材料基礎講座-184

プラズマトーチ

 スプレーチャンバーから出た試料溶液とキャリアガスはプラズマトーチ内に導入されます。プラズマトーチの模式図を図1に示します。プラズマトーチは3重管の構造となり、さらに先端に誘導コイルがあります。中心の管(チューブ)には試料溶液とキャリアガスが導入されます。その外側の管には補助ガス、一番外側の管にはプラズマガスがそれぞれ挿入されます。3重管はいずれも石英製のトーチが使用されます。そしてトーチ先端に高周波が印加されてプラズマが点灯します。

 ICPのプラズマの特徴として、ドーナツ状のプラズマが発生して、その中に試料溶液が挿入されます。そこで試料溶液の各元素が励起され発光します。また、プラズマトーチが3重管となっている理由も、プラズマをドーナツ状に維持するためです。一番内側のキャリアガスによってドーナツ形状が形成されます。その外側の補助ガスはプラズマをトーチより高い位置に維持して、トーチの損傷を防ぎます。一番外側のプラズマガスはプラズマを維持するのに十分なアルゴンを供給すること、プラズマ中心部を大気から遮断し空気の混入を防ぐこと、トーチとプラズマの接触を防ぐことなどの役割があります。

 プラズマトーチは分析をすると溶液試料の酸成分などによって徐々に汚れや酸化していきます。汚れたトーチは王水洗浄や電気炉(300~400℃)などで加熱洗浄することできれいになります。

 

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