金属材料基礎講座-185

誘電結合プラズマ

 プラズマとは「気体中の原子や分子が電離して、正イオンと電子がほぼ等量まざりあって存在し、平均的に電気的中性の状態を保っている状態である」と定義されています。なお、ICPの場合、原子が電離されている割合は少なく0.1%程度です。プラズマは気体に電界、光、熱などの高いエネルギーを集めれば生成できます。

 ICPではプラズマを発生させるために高周波、誘導コイル、3重のトーチなどが構成されています。コイルに高周波電流が流れると、電磁誘導によって高周波磁界が発生します。そこにアルゴンガスをらせん状に流し、高電圧発生器(イグナイター)により発生した火花放電などによってプラズマが生成・維持されます。その模式図を図1に示します。プラズマの温度は5000~8000℃程度となり、多くの金属元素の励起源となります。試料溶液はドーナツ状のプラズマの中心をと通るため、周囲のプラズマによって励起されます。

 高周波電源は通常の50Hz、60HzをMHzまで変換する必要があります。高周波電源には自励発振式と水晶発振方式の2つがあります。また、高周波の電波の漏洩による通信の妨害を避けるため、ISMバンド(産業科学医療用周波数帯)である周波数 27.12MHz、40.68MHzが使われます。

 

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