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金属材料基礎講座-86

めっきや塗装の前処理

 めっきや塗料の密着性は下地金属の表面状態や洗浄が非常に重要です。めっきや塗装がどれだけ優れていても、下地金属に密着していなければ剥がれてしまい、容易に腐食してしまいます。前処理の例として無電解めっきの工程を図1に示します。めっき工程の前に多くの洗浄や酸処理工程があります。めっきも塗装の前処理もさびや汚れなどを研磨などで機械的に除去する工程、脱脂、洗浄する工程、酸などの薬品によって酸化膜などを除去する酸処理、密着性を高めるために色々な表面処理を行う工程などがあります。

 機械的にさびなどを除去する方法として研磨や研削などがあります。また古い塗装を除去する時にサンドブラストによって表面をきれいにすることもあります。そして付着した汚れなどを洗浄するのに有機溶剤による脱脂があります。また塩酸やリン酸のような薬品に浸してさびを除去する酸処理もあります。酸処理についてはさびの除去を目的に行われる時と、表面を製膜しやすくするために処理する時があります。

 めっきや塗装の皮膜を形成する時に下地金属の表面を意図的に粗く凸凹にすると表面積が増えて皮膜の食いつきがよくなります。これをアンカー作用と言います。

 

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