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金属材料基礎講座-56

イオン

 多くの金属原子は電子の軌道を考えた場合、最外殻に数個の電子がある(価電子)。金属原子の価電子の数は1から3個程度のことが多い。電子軌道は最外殻の電子が8個の状態が最も安定する。この状態をオクテットという。ネオンやアルゴンなどの希ガスの元素はこのオクテット構造のため非常に安定である。

 例えばナトリウム原子は最外殻のM殻に電子が1個ある。最外殻に1個の電子がある状態は不安定である。もしM殻の1個の電子を放出すれば、L殻の8個の電子が最外殻となり、電子軌道的に安定する。この最外殻の電子が放出して最外殻をオクテットにした状態(原子によっては電子を取込む時もありる)をイオンと呼ぶ。これを図1に示す。ナトリウムの場合、電子を1個放出する。この時は元素記号に「+」だけを表記して1は省略する。この数字を酸化数や価数などと呼ぶ。

 また原子の中には塩素や酸素のように価電子の数が多く、電子を取り入れた方がよい原子もある。塩素や酸素は電子を取り入れてマイナスイオンとなる。塩素イオンを図2に示す。プラスイオンと同様に元素の上の数字は取り入れた電子の数を表す。

 

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