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金属材料基礎講座-55

腐食反応

 腐食は金属材料の主要な不具合の一つです。腐食反応は金属材料の性質のなかでも電位差やイオン化傾向など電気化学的性質が大きく影響する現象です。腐食には様々な種類があり、材料の一部または全体が溶出して板厚が薄くなること、腐食生成物を生成することなどがあります。腐食モデルを図1に示します。一般的に赤さびとも呼ばれる物も腐食反応の1つです。身近な腐食の例として手入れの届かない水回りのさび、街中のガードレールのさびなどがあり、腐食は身近に起こる金属の不具合でもあります。

 腐食の根本である電気化学反応とは、化学反応の中でも電子やイオンなどの電荷を含めた化学反応です。そして一般的な電気分野では電流や電圧(=電位差)などを扱いますが腐食においても同様です。電子やイオンの移動が起こる時に電流が発生します。そしてこの電子を動かす力となるのが電圧です。腐食反応のモデルを議論する時に電子やイオンの移動する流れや方向を元に考えると、腐食現象をとらえやすいです。また腐食反応では電池などの電源はないので、素の金属板と水などの周囲の環境によって自然に電位差が発生して電子やイオンが移動します。電位差には必ずペアとなる物質が存在します。それは金属と水や酸素などの環境、または金属と別の金属という場合もあります。