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金属材料基礎講座-209

ヒューム・ロザリーの法則

 2元型合金の溶解度や金属間化合物についてウイリアム・ヒューム=ロザリーが発表した法則をヒューム・ロザリーの法則と言います。内容は4項目あります。

 

1 原子容積効果

2 電子濃度による固溶限

3 化学的親和力効果

4 相対原子価効果

 

 原子容積効果とは原子の大きさについてです。元の金属原子と固溶する原子の大きさが約15%以内になると固溶限が大きくなるというものです。そのため原子の大きさが15%以上大きくなると固溶限は小さくなります。大きさの近い原子は固溶しやすいと言えます。

 電子濃度による固溶限とは価電子の数と原子の数の比率についてです。これは固溶体よりも金属間化合物に注目して考えます。金属間化合物にも固溶限のある化合物はあります。その時の価数/原子数の比率です。値としては価数/原子数=1.4程度まで固溶できます。そのため、価数が増えると固溶限が少なくなっていきます。

 化学的親和力効果とは電気陰性度に関する法則です。電気陰性度とは原子が電子を引き付ける力のことです。電気陰性度は周期表の右上ほど大きく、左下ほど小さくなります。なお、電気陰性度の最大値はフッ素です。電気陰性度の差が大きいと固溶体ではなく金属間化合物を形成しやすくなります。

 相対原子価効果とは原子価の大小によって固溶限が変わることです。相対的原子価効果以外の条件を満たしている時に原子価の小さい金属の中に原子価の大きい金属は固溶しやすいですが、反対に原子価の大きい金属の中に原子価の小さい金属はあまり固溶しないことです。

 

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