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金属材料基礎講座-208

中間相と金属間化合物

 状態図に表れる相として液相、溶質原子をほとんど溶解していない純金属、溶質原子を溶解している固溶体の他に、金属同士が結合して元の金属とは大きく異なる性質の化合物を形成することがあります。これを中間相と言います。この中間相のうち、AmBnのように金属の比率が比較的簡単な数字で表せるもの(化学量論組成)を金属間化合物と言います。状態図では中間層はある程度の固溶限が見られますが、金属間化合物は固溶限がほとんど見られず直線的に表されます。これを図1に示します。θ相が(1)中間相または(2)金属間化合物となります。

 なお、文献によっては中間相(金属間化合物)としてほとんど同じ扱いをしていることもあります。金属間化合物の例をいくつか下記に示します。

 

Fe3C セメンタイト鋼の熱処理や強化に深く影響しています。

Fe4N 窒化鉄 窒化処理した鋼の表面に形成される非常に硬い化合物です。

CuAl2 ジュラルミン合金の強化に影響しています。

Mg2Si 6000系のアルミニウム合金の強化に影響しています。

TiNi 形状記憶合金などに使用されます。

Ni3Al ガンマプライム相 高温強度に優れておりニッケル系の耐熱合金に使用されます。

 

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