相対強度の計算例
XRDの相対強度の計算をしてみます。金属材料として粉末のアルミニウム(格子定数a=4.05Å)、使用するX線はCuKa(λ=1.542Å)とします。相対強度の計算を表1に示します。表1の列は下記のように計算しました。
列の計算方法
第1列 回折線:回折ピークを低指数、低角度から番号付けました。
第2列 面心立方格子の構造因子に従い、回折面を低指数から並べました。
第3列 回折面hklのh2+k2+l2を計算した。
第4列 式(1)からsin2θを計算しました。
第5列 sin2θの平方根です。
第6列 θをsin-1θから計算しました。
第7列 sinθ/λを計算しました。次のf Alを求めるのに使用しました。
第8列 図1の原子散乱因子のf Alをsinθ/λから読み取りました。
第9列 式(2)からF2を計算しました。
第10列 表2の多重度因子から引用しました。
第11列 式(3)とθから計算しました。
第12列 F2(構造因子)×p(多重度因子)×Lorentzかたより因子です。
第13列 6個の回折線の中で最も強度の高い回折線1の強度を100とした相対値を計算しました。
表1 アルミニウムの相対強度計算 | ||||||||||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 |
回折線 | hkl | h2+k2+l2 | sin2θ | sinθ | θ | sinθ/λ | f Al | F2 | p |
Lorentz かたより因子 |
強度I | 相対強度 |
1 | 111 | 3 | 0.109 | 0.330 | 19.25 | 0.21 | 8.8 | 1239 | 8 | 15.71 | 155711 | 100 |
2 | 200 | 4 | 0.145 | 0.381 | 22.38 | 0.25 | 8.2 | 1076 | 6 | 11.22 | 72436 | 47 |
3 | 220 | 8 | 0.290 | 0.538 | 32.58 | 0.35 | 7.2 | 829 | 12 | 4.82 | 47932 | 31 |
4 | 311 | 11 | 0.399 | 0.631 | 39.15 | 0.41 | 6.5 | 676 | 24 | 3.37 | 54637 | 35 |
5 | 222 | 12 | 0.435 | 0.659 | 41.26 | 0.43 | 6.2 | 615 | 8 | 3.11 | 15306 | 10 |
6 | 400 | 16 | 0.580 | 0.761 | 49.59 | 0.49 | 5.6 | 502 | 6 | 2.73 | 8214 | 5 |
表2 立方晶の多重度因子 | ||
回折面 | 回折面の例 | 多重度因子の数 |
(h00) | (100)、(200)など | 6 |
(hhh) | (111)、(222)など | 8 |
(hh0) | (110)、(220)など | 12 |
(hk0) | (120)、(130)など | 24 |
(hhl) | (112)、(221)など | 24 |
(hkl) | (123)、(124)など | 48 |
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