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金属材料基礎講座-104

パーライト変態

 炭素鋼や工具鋼においてオーステナイトから温度が低下してフェライト+セメンタイトのパーライト変態を起こすことはとても重要なことです。パーライト組織の特徴はフェライトとセメンタイトの層状組織です。しかし、この組織がA1変態点を通過した瞬間に出来るわけではありません。パーライト組織にも成長過程があります。液相から固相に凝固する時と同様にパーライト変態にも核があります。まず初めに結晶粒界からセメンタイトの核が生成し、そこからセメンタイトが成長します(A)。セメンタイトは炭素量が高いので、その周りは炭素量が低くなります。そこでセメンタイトを囲むようにフェライトができます(B)。フェライトは炭素量が少ないので、その周りには再びセメンタイトができます(C)。これを繰り返しながら層状にフェライトとセメンタイトの析出(パーライト変態)が起こります。そして、すべてのオーステナイトがパーライト組織となって完了します。

 

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