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金属材料基礎講座-94

鉄鋼製錬 溶銑予備処理

 高炉から出てきた銑鉄は炭素量が多いので硬く脆いのでそのままでは使用できません。炭素量や不純物量を減らして鉄の純度を上げていきます。従来は高炉から出た銑鉄をすぐに転炉に移動して多くの不純物元素を一気に精製を行っていましたが、不十分であり時間もかかっていました。そこで高炉と転炉の間で銑鉄の不純物元素を除去する溶銑予備処理を行います。銑鉄はトーピードカーや取鍋によって運ばれます。トーピードカーの模式図を図1に示します。この時に溶銑予備処理として主にSi、P、Sを除去します。そして、その後の転炉にて炭素を除去する工程となります。

 溶銑予備処理にて除去する時にSi、Pは酸素によって酸化させスラグにします。Siは鉄鉱石や石灰(CaO)などを添加して除去します。この時SiはCaO-FeO-SiO2系のスラグとなります。またこのスラグはPも吸収するので脱Pも行えます。そしてPも鉄鉱石などの添加によってスラグとして除去されます。SiとPは酸化反応によって除去しましたが、Sは還元反応によって除去します。そのためSi、Pのスラグを除去した後にSの除去を行います。Sを除去するためにCaOなどを添加します。これらの反応を図2に示します。

 

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