腐食の基本原理
腐食の分野において酸化反応をアノード反応、還元反応をカソード反応といいます。和訳すると陽極反応、陰極反応ですがが、電池反応における陽極反応、陰極反応と混同する恐れがあるので、腐食反応ではそのままアノード反応、カソード反応と表記することが多いです。実際の腐食反応におけるカソード反応は金属の還元反応ではなく、金属表面で水分や酸素が反応して水酸化物イオンを生成するような反応が行われます。アノード反応、カソード反応、全体反応を図1に示します。Fe(OH)2が腐食生成物となります。腐食反応ではこのように電子やイオンが反応するので電流が流れます。この腐食反応で発生する電流を腐食電流(ガルバニック電流)と呼びます。そしてこの時の電気回路を腐食電池と呼びます。
全体反応において鉄は酸化数が0から+2に増加したため酸化されたと言えます。一方、酸素の酸化数が0から-2に減少したため還元されたと言えます。酸化と還元は必ずペアになって反応が行われます。そして、鉄のように相手を還元させる物質を還元剤、酸素のように相手を酸化させる物質を酸化剤といいます。腐食では金属がアノード溶解するので、金属が還元剤、酸素などが酸化剤となります。そして腐食に関係する酸化剤は酸素以外にも水素などがあります。通常、酸素は水中に溶存酸素として含まれています。そして水素は塩酸などの酸性溶液に含まれます。腐食反応の酸化剤が酸素の時は酸素消費型の腐食、水素の時は水素発生型の腐食といいます。
コメントをお書きください