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金属材料基礎講座-26

ミラー指数の方向

 ミラー指数には結晶の面だけでなく、方向の表示も重要です。方向の表示にもいくつかの決まり事があります。まず、面の時と同様に図1(a)のようにx軸、y軸、z軸上に一辺がaの立方格子を考えます。そして図1(b)の表示方法について考えます。方向は一般的な数学の座標系の表示と同様に考えます。図1(b)の場合、座標表示ではxyはともに1、zは2です。これを方向の表示を表す表記として角カッコ[]を使用します。そのため方向は[112]となります。

 図2にミラー指数の方向として頻出する方向を示します。これらはすべり系の方向としてもよく出てきます。また面のように対称性のある等価な方向の表示としてはカッコの形状を<>にして<112>として表示します。

 ここで、体心立方格子、面心立方格子、稠密六方格子の代表的なすべり面とすべり方向を図3に示します。稠密六方格子は立方体から六角形になるので表示方法が複雑になるので詳細は割愛しますが、4桁の表示になります。すべり面を赤、すべり方向を青で表示しました。これによると、すべり面は各結晶構造における最密充填面となり、すべり方向は最密充填面の中で原子がつながっている方向ということがわかります。

 

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