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金属材料基礎講座-19

合金状態図-1 全率固溶型

 2種類以上の金属を溶解して凝固する時に、例えばA金属とB金属を1対1の割合で溶解して、単純にその配合通りの合金がそのまま得られることは限られます。多くの場合、様々な濃度の固溶体や種々の反応や化合物を形成したりします。この時に、このA、Bをどの割合で溶解した時に、どのような組織の材料が得られるかを示したのが合金状態図になります。この時2種類の合金について扱う場合、2元合金状態図と呼びます。3種類の合金の時は3元合金状態図となります。

 2元合金状態図はおよそ5種類のパターンに分けられます。そのうち2種類を図1に示します。状態図の表し方としては、左端に1種類目の純金属「A」を表示します。そして横軸に2種類目の金属の添加量を表します。右端は2種類目の純金属「B」になります。縦軸は温度を表します。もし、2つの金属が完全に混ざり合う時は、それぞれの融点を結んだ状態図になります。それがa)の全率固溶型です。このタイプは融点は溶解初めの液相線と凝固完了の固相線の2つの線が見られるだけで、凝固完了後はその組成が変わることなく常温まで冷却されます。この合金はどの組成でも完全に固溶体を形成します。通常、状態図の表記において固溶体は、A金属の固溶体をα、B金属の固溶体をβなどのようにギリシャ文字で表示します。全率固溶型の場合、組織的にはα単相組織になります。

 この全率固溶の変化として、途中までは完全に単相の固溶体ですが、ある温度になると、2相分離するようになります。一つの固溶体の中からA金属の濃いα固溶体とB金属が濃いα’固溶体が析出するのです。これは温度の低下とともに溶解度や濃度も変化します。室温ではα固溶体とα’固溶体の2相組織になります。このαとα’は同じ結晶構造になります。