金属材料基礎講座-193

分析波長の選択

 ICP-AESの定量分析ではブランク材(超純水など)、標準試料、測定試料の発光スペクトルをそれぞれ測定して、目的元素の定量分析を行います。この時、一つの元素を測定するのに複数の波長から最適な波長を選択しなければなりません。これは測定元素が1つから複数になっても同じです。波長を選択するための基準はいくつかあります。

 

1. 高感度で十分な検出下限であること。

2. 他の元素の分光干渉の影響が少ない波長であること。

3. 同じ元素で別の波長を比較したときに見かけ上低濃度となる波長を優先すること。

 

 測定後は波長ごとに発光スペクトルの波形データを確認できるので、そこから判断します。理論上はプラズマの中で発生した発光スペクトルは同じ元素であれば、測定する波長が変わっても発光強度は同じはずです。そのため、いくつかの波長で同じ発光強度(濃度)となり、1つの波長だけ大きく発光強度の異なる波長がある場合、その波長は干渉されていると思われます。また、バックグラウンド補正では波長のベースラインを設定します。ピーク一からベースラインを引いた値を正味の発光強度として計算します。

 

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