金属材料基礎講座-189

物理干渉

 物理干渉とは試料溶液の密度、粘度、酸濃度などによってプラズマに噴霧される溶液試料の導入効率に差が生じることです。ICP-AESではネブライザーにアルゴンガスを流して噴霧しますが、この機構では避けられない干渉です。また試料溶液の塩濃度が高いと、ネブライザー先端に塩の沈殿が発生します。これが大きくなると試料導入量やガス流量が徐々に低下していきます。試料導入量が低下すると発光強度も低下します。ネブライザーなどのガラス器具は1日使用する度に酸溶液などで洗浄することが望ましいです。

 物理干渉の対処としては試料溶液と検量線用の標準溶液の酸の種類や濃度などを出来る限り合わせることが有効です。標準溶液には測定元素の種類や濃度だけでなく、「5%HNO3」などベースとなる酸の種類や濃度も記載されているので、これを試料溶液と合わせます。また、物理干渉の補正には内標準法が使用されます。

 

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