金属材料基礎講座-181

ガラス器具の洗浄と超純水

 ICP-AESに限らず化学分析ではppmやppbレベルの分析を行います。そのため、試料中のわずかな不純物も検出します。そして、これは同時に試料に誤って付着したゴミや汚れも不純物元素として検出されることを表します。これは目に見えるゴミや汚れだけでなく、洗浄などに使用する水の不純物も含まれます。そのため、化学分析に使用するガラス器具、道具、水については注意を払う必要があります。

 ガラス器具は基本的に分析専用とし、その他の一般的な作業(酸処理やエッチングなど)では使用しません。初めて使用するときはガラス器具を1~3%程度の硝酸溶液に一晩浸すと、表面に付着していた見えない汚れなどは洗浄できます。また目に見える汚れがある時は硝酸の濃度を10%程度まで高くして洗浄します。そして、使用したガラス器具は中性洗剤で洗浄後は純水や超純水で洗剤や水道水を洗い落とします。水道水には様々な元素が含まれているので、水道水で洗浄したまま放置すると水アカが付着するので注意します。

 ICP-AESでは水はガラス器具などの洗浄に限らずブランク試料としても重要です。ガラス器具の洗浄であれば純水でもできますが、ブランクに使用する場合は超純水がよいです。水道水から不純物を除去した水が純水です。蒸留水、イオン交換水、精製水などが純水になります。そして純水をさらに高めたのが超純水です。超純水は化学分析以外にも半導体産業などでも使用されます。

 

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