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エピソード-178

固定観念の構築と崩壊

 固定観念は過去の経験をもとに作られるので、固定観念を疑うことは過去の自分を疑うことでもあります。自分の過去は一つのストーリーとなっているので、どこか1箇所を疑うと、過去の成功経験、美談、武勇伝などの全体が崩壊します。これはとても辛いことです。そのため、固定観念を疑うときは、過去の大事な出来事に影響を与えない範囲で考えがちです。しかし、より大きな変化や成果を出すためには範囲を広げなくてはなりません。これはとても勇気と行動力が必要です。

 しかし、実際に固定観念の領域まで踏み込んだとしても、一度入ってしまえば意外とあっさり終わってしまいます。むしろ「こんな小さなことにこだわっていたのか」と考えられるようになります。もちろん、過去の経験の認識が変化しても、今のあなたがなくなるわけではありません。何も変わりません。むしろ、自分の活動領域が広がったような気分になるでしょう。

 過去の出来事では同じことを経験した人がいるでしょう。しかし、あなたとその人が全く同じことを思ったとは限りません。時間がたつほど人の記憶はあいまいになります。あいまいなのに、本人にとっては真実のように感じます。なお、大きな出来事は怒りや悲しみなど多くの負の感情をため込んでいることが多いので、これを一気に開放すると精神的に負荷が大きいです。そういう時は少しずつ負の感情を出していった方が良いです。