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エピソード-169

押しと引き

 「押してダメなら引いてみる」という言葉があるように、一つだけの方法、手段にとらわれることはないのです。押すか引くかというのは手段の話であり、本当の意味で引き上げる、撤退するわけではありません。気持ちの上ではアプローチし続けます。これまで押すことだけを続けてきた人にとって引くことを受け入れることは、初めは抵抗があるかもしれません。今までの自分の経験や実績を否定された気にもなるでしょう。しかし、誰もあなたを否定するつもりはありません。単に引く方法を知らなかっただけなのです。また、新しい方法を覚えることはアプローチの幅を広げることにもつながります。片方は効果がなかったけど、もう片方は効果的だったということは十分起こります。

 直接的に「押す引く」ではなくても、言葉と行動、集中と分散など比較的対極となる2種類がペアになることが多いです。そして、これまで押すしか知らなかったとしても、一度引くことを覚えたら、ゼロからのスタートではなく押すの半分程度からスタートできます。いきなり押すと引くを同じレベルでこなすことは難しいですが、しっかり時間をかければ同じレベルにすることはできます。まずは騙されたと思って押すから引くの世界に入ることです。