金属材料基礎講座-150

EDSとWDS

 SEMの元素分析器としてEDS(Energy Dispersive X-ray Spectrometry:エネルギー分散型X線分光器)とWDS(Wavelength Dispersive X-ray Spectrometry:波長分散型X線分光器)があります。この両者はともに試料から発生した特性X線を取り扱います。特性X線の発生メカニズムを図1に示します。特性X線は電磁波の一種であり、エネルギーとしての特性と波動としての特性があります。EDSはエネルギーとしての特性X線を検出し、WDSは波動としての特性X線を検出します。なお、EDSはSEM-EDSと呼ばれます。一方WDSをセットしたSEMはEPMA(Electron Probe Micro Analyzer:電子線プローブマイクロアナライザ)と呼ばれます。

 EDSでは特性X線の検出に半導体検出器を使用します。検出器に特性X線が入射すると、エネルギーに相当する電子と正孔の対が生成されます。この電流から特性X線のエネルギーを測定します。EDSでは一度に多くの元素を同時に測定でき、EDS分析を行うと特性X線に応じたスペクトルが得られます。このスペクトルは縦軸が特性X線のカウント、横軸が特性X線のエネルギー(eV)です。

 WDSでは特性X線の検出に分光結晶と検出器を使用します。分光結晶で特性X線の回折現象を利用します。この時、分光結晶と検出器はローランド円という一定の円軌道をとります。WDSでは一つの分光結晶では検出できる元素が限られるため、多くの元素を同時に分析するためには複数の分光結晶をセットする必要があります。WDS分析から得られるスペクトルは、縦軸はEDSと同様に特性X線のカウントですが、横軸は特性X線のエネルギー(eV)の他に、分光結晶の角度として表示することもあります。