金属材料基礎講座-146

SEM像のピント合わせ-1

 SEM観察において鮮明で良いSEM像を得るために設定する項目が多々あります。それを表1に示します。

 

加速電圧

 加速電圧とは電子銃の陰極(フィラメント)と陽極にかけられた電圧です。通常5~20kV程度にて設定することが多いです。試料観察やEDS分析などにおける電子線のエネルギーでもあります。加速電圧が高いほど分解能が上がります。しかし加速電圧を上げすぎると電子線が試料内部まで侵入してしまい、表面の情報が読み取りづらくなってしまいます。また試料へのダメージも大きくなるため、注意が必要です。また、EDSなどで元素を分析する時は加速電圧を高めに設定します。

 

WD

 WD(Working Distance:作動距離)は対物レンズから試料までの距離です。通常10mm程度にすることが多いです。WDを短くするほど分解能が上がりますが、焦点深度は低下します。逆にWDを長くすると分解能は下がりますが、焦点深度は深くなります。また、WDを短くすると対物レンズとの距離が狭くなるため、試料ステージの可動域などが制約されるほか、対物レンズと試料の衝突のリスクも発生します。

 

走査速度

 SEM観察した試料を撮影する時には、走査速度を遅くして鮮明なSEM像を記録します。一方、試料全体を確認する時に走査速度を遅くすると、試料の移動とモニターの変化が追い付かず作業効率が悪くなります。SEM像を記録する時以外は走査速度を速めにして、多少SEM像が粗くても試料を確認できる程度の走査速度にするのがよいです。

 

スポットサイズ

 電子線のスポットサイズは小さいほど分解能が上がりますが、スポットサイズを小さくしすぎるとノイズが大きくなりSEM像が不鮮明になります。反対にスポットサイズを大きくすると分解能が下がりますが、SEM像が鮮明になります。走査速度を遅くするとスポットサイズを小さくしてもSEM像を観察できますが、限度があります。1万倍などの高倍率でない限りスポットサイズを小さくしすぎない方が良いです。

表1 SEM観察の設定項目例

・加速電圧

・WD(ワーキングディスタンス)

・走査速度

・スポットサイズ

・フォーカス

・スティグマ

・ウォブラ(軸調整) など