光学顕微鏡観察
光学顕微鏡とは文字通り光学フィラメントを光源として利用した顕微鏡です。光学顕微鏡の倍率は「接眼レンズの倍率×対物レンズの倍率」です。接眼レンズは10倍であることがほとんどで、対物レンズに10倍から50倍程度のレンズがセットされていることが多いです。そのため、観察倍率としては100から500倍となります。試料ステージは試料を観察する向きが上向き、下向きなど様々です。試料を上向きに観察する場合、試料面を水平にするための治具が用意されます。光学顕微鏡の光源はハロゲンランプ、キセノンランプ、LEDランプなどが使用されます。金属組織を光学顕微鏡で観察すると様々な結晶粒界や相が観察されますが、それはエッチングにより形成された凹凸により光の影が組織として見えるのです。その模式図を図1に示します。
顕微鏡の性能を表す項目として分解能と焦点深度があります。分解能とは2点を2点として認識できる距離、焦点深度とは深さ方向にピントが合う距離です。分解能が狭いほど小さい粒子などをより正確に観察できます。また、焦点深度が大きいほど凹凸や傾斜のある試料もピントを合わせて観察できます。顕微鏡の倍率を上げるほど分解能は狭くなり、焦点深度は浅くなります。分解能については式(1)、(2)で表されます。
δ=kλ/NA (1)
NA=n・sinθ (2)
δ:分解能(μm)
k:定数(0.5~0.6程度)
λ:光源の波長
NA:開口数
n:屈折率(空気中はn=1)
sinθ:対物レンズと試料の開口角
NAは屈折率と試料の開口角です。空気中であれば、屈折率n=1となり、sinθは1以上にはなりません。すなわち、NAは0~1の値となります。NAを最大値1とすると分解能はほぼ光源波長の半分となります。可視光線の波長は380~750nm程度であり、その半分の値(190~375nm)が最大分解能となります。光学顕微鏡の高倍率化(1000倍以上の倍率)の技術は進んでいますが、可視光線の波長と分解能の関係から数百nm(コンマ数μm)の分解能以上の解像度は得られません。
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