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エピソード-138

理由のないルール

 慣習や決まり事(ルール)には理由や元になった出来事などがあります。これらが明確に伝えられている時は理由や元の出来事が「目的」となり、ルールは「手段」となります。しかし、理由や元の出来事が忘れられると、ルールだけが残ります。こうなると、ルールは手段ではなく目的になります。ルールに従うこと、ルール通りに行動することが目的となり、なぜルール通りに行動するのか分からなくなります。そして、ある時なぜこのルール通りに行動するのか質問すると「前から行っているから」という回答が出てきます。この回答には何の意味もありません。本当に特に意味もなく、前から行っていることであれば変えることはできます。しかし、実は大きな意味がある場合、勝手に変えることはできません。何かトラブルが起こる可能性があるからです。実際のところ、このような出来事を完全に把握して伝え続けることは難しいです。文章として残しても担当者が変更してよくわからなくなることは十分にあります。

 このようなルールや理由を維持管理することは大変ですが、それを使う人にとっては重要なことです。大事な理由があるのならしっかりルールを守りますが、「前からやっている」では説得力に欠けます。理由のないルールです。目先の優先や楽な方法に流れます。そしてルールができた時とは環境や状況が変わっている可能性もあり、もはや不要のルールとなっているかもしれません。それも含めてルールの維持管理が重要になります。