金属材料基礎講座-130

埋込樹脂

 試料の切断後、そのまま次の研磨工程に進む時もありますが、多くの試料は樹脂埋込を行います。樹脂埋込を行う理由はいくつかあります。1つ目は研磨工程が可能な大きさにするため。2つ目は研磨機にセットするサイズが決まっており、そのサイズに合わせるため。3つ目は埋込によって断面のダレを防止し、断面組織を正しく観察するため、などの理由があります。

 埋込樹脂はその手法から常温硬化樹脂(冷間埋込樹脂)と加熱加圧樹脂(熱間埋込樹脂)に分けられます。埋込樹脂にはいくつかの種類と特徴があるのでそれを表1に示します。常温硬化樹脂は試料を専用の埋込容器にセットして、そこに液状の樹脂を流し込みます。一方、加熱加圧樹脂は専用の装置に樹脂をセットして、そこに粉末状の樹脂を流し込み加熱加圧して樹脂を成形します。傾向として、常温硬化樹脂よりも加熱加圧樹脂の方が硬いです。埋込樹脂の特徴として試料との密着性、硬さ、硬化時間、色、などがあります。常温硬化樹脂のエポキシ樹脂は、硬化樹脂は長いですが、試料との密着性はよいです。アクリル樹脂は透明のため、試料の位置を確認しながら研磨ができます。しかし、他の樹脂に比べると軟らかい傾向があります。フェノール樹脂は加熱加圧樹脂では広く使用されます。

表1 埋込樹脂の種類と特徴
タイプ 樹脂の種類 硬化時間 主な色 特徴
常温硬化樹脂 エポキシ 1~12時間 透明 密着性が良い
アクリル 10~30分 半透明 汎用的
加熱加圧樹脂  エポキシ 10~20分 黒など 硬い
アクリル 10~20分 透明 軟らかい
フェノール 10~20分 黒など 汎用的・経済的 
導電性フェノール 10~20分 黒など SEM観察に有効