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金属材料基礎講座-100

チタン製錬

 チタンの資源は豊富ですが、チタンは活性であり酸素との親和力が強く、鉱石から金属チタンに製錬するのは困難です。チタン製錬の原料として天然ルチル(TiO2)、イルメナイト(チタン鉄鉱FeTiO3)などがあります。そしてチタン製錬には純度の高いTiO2が使用されます。高純度の天然ルチルはそのまま使用できますが、それ以外ではイルメナイトを製錬して合成ルチルとして原料にします。他にはチタンスラグなども原料となります。

 チタン製錬はクロール法と呼ばれる方法で行われます。これは酸化チタンを四塩化チタンにして、それをマグネシウムで還元してスポンジチタンを製造する方法です。まず原料とコークスを炉にセットして塩素ガスを流しておよそ1000℃で四塩化チタンを製造します。酸化チタンから四塩化チタンを得る反応を式(1)に示します。

 

TiO2+2Cl2+2C→TiCl4+2CO  (1)

 

生成した四塩化チタンは気体です。気体の四塩化チタンを冷却させる時に鉄(塩化鉄となっている)などの不純物も除去します。そして高純度の液体の四塩化チタンを得ます。この四塩化チタンをマグネシウムで還元します。塩素はチタンよりもマグネシウムの方が結びつきやすいので、塩化マグネシウムとなります。この反応を式(2)に示します。

 

TiCl4+2Mg→Ti+MgCl2  (2)

 

式(2)の反応はステンレス製の容器内でアルゴン雰囲気中にて行われます。溶解したマグネシウムの中に四塩化チタンを滴下して行われます。温度はおよそ800℃にて反応しますが、マグネシウムの還元反応は発熱反応のため、還元反応が起きた後は温度を上げ過ぎないように温度制御します。

 還元反応後、真空分離によってTiに残るMgやMgCl2を蒸発除去して金属Tiが得られます。この時のTiがスポンジのように空隙があるのでスポンジチタンと呼ばれます。また、塩化マグネシウムは溶融塩電解法によって塩素ガスとマグネシウムに分離され、それぞれ再利用されます。また、マグネシウムではなく、ナトリウムで四塩化チタンを還元する方法をハンター法と言います。

 

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