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金属材料基礎講座-90

耐食材料

 耐食材料とは炭素鋼よりも耐食性のよいステンレス鋼などを使用することです。ステンレス鋼は鉄にクロムを添加して不動態皮膜を形成することで耐食性を高めた材料です。日常的な環境では優れた耐食性を示しますが炭素鋼と比べるとコスト高です。炭素鋼よりも耐食性のある材料はステンレス鋼以外にも耐候性鋼などもあります。耐食材料を使用する場合、使用する材料コストだけでなく、その後のメンテナンスコストも考慮した総合的な評価をしなければなりません。またステンレス鋼でも塩化物イオンの多い海岸付近の環境では孔食などの腐食が起きます。そしてステンレス鋼の種類もたくさんあるので、耐孔食に優れたステンレス鋼もありますが、高価になります。例えば一般的なステンレス鋼としてSUS304(18Cr-8Ni)がありますが、これにモリブデンを添加したSUS316は、SUS304よりも孔食が起こりにくいです。

 また、腐食環境は塩化物イオン以外にもアンモニア、硫黄ガスなど様々な種類があります。銅合金は一般的には炭素鋼よりも耐食性は良いですが、アンモニア環境には弱いです。耐食材料を選ぶときは腐食環境に適した材料を選ぶ必要があります。

 

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