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金属材料基礎講座-81

微生物腐食

 細菌やバクテリアの活動によって起こる腐食を微生物腐食と言います。微生物腐食と聞くと微生物が金属を分解するように感じますが、実際は微生物が生成する代謝物によって腐食が起こる現象です。細菌は淡水、海水、土壌などに普通に存在しています。細菌は酸素の少ない環境で繁殖する嫌気性細菌と酸素の多い環境で繁殖する好気性細菌に大きく分けることができます。微生物腐食に関係する細菌として嫌気性細菌では硫酸塩還元菌、好気性細菌では硫黄酸化細菌、鉄酸化細菌などがあります。好気性細菌は水中の有機物を酸素を消費しながら分解しますが、水が汚れ汚泥などが堆積するとその底部には酸素が行き届かなくなり嫌気性細菌が繁殖しやすくなります。

 嫌気性細菌の硫酸塩還元菌は硫酸イオンから硫黄イオン、硫化水素、硫化水素イオンなどの硫化物を生成します。これら硫化物が鉄と反応して硫化鉄(Ⅱ)などの腐食生成物が生じます。一方、好気性細菌の硫黄酸化細菌は硫化水素や硫黄から硫酸を生成します。この硫酸が鉄を腐食します。その様子を図1に示します。

 嫌気性細菌が硫化水素を生成し、好気性細菌が硫化水素を原料とするので、両者が共存すると大きな微生物腐食が起こります。微生物腐食の対策としては殺菌が有効なため、次亜塩素酸ナトリウムの継続的な添加が有効です。しかし、次亜塩素酸ナトリウムは酸化剤のため添加量を多くしてしまうと他の腐食を引き起こす可能性があります。

 

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