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エピソード-55

「あなたのため」ではない

 説教する時の前置きとして「あなたのために言っている」という一言があります。実際に言われたことのある人もいるでしょう。そう言うと、聞こえはいいですが実は全くあなたのためになっていないのです。あなたのために言われたことが、今も心に残っているという人はいるでしょうか。私は残念ながら全く覚えていません。どんなことを言われたのかさえ覚えていません。これは説教する人が単に言い訳をしているだけです。その後の内容は理論的に説明できずに自分の考えに従わせるためや感情的に怒りをぶつけたり八つ当たりするなどです。恐怖や立場を利用したほとんどパワハラです。ただの説教好きやマウントを取りたいだけでしょう。本当に「あなたのため」を思っての説教はそもそもありえないでしょう。何かのミスや誤りを指摘することが説教なので、言うことを聞かせることではないのです。本音は「あなたがミスすると私が困る。だから言うことを聞きなさい」でしょうか。

 部下のミスや誤りは直さないといけませんし、ミスよって上司が困るのも事実です。伝えるべきことはミスの内容に対する正しい対応とミスしたことによる損害の影響や範囲を伝えることです。上司が困ってることを部下に伝えても、部下も困ります。部下と上司では仕事内容も責任の大きさも異なります。相手の立場を考えることと言うことを聞かせることは別です。