すべり帯
疲労破壊の起点には材料欠陥や不純物介在物が多く存在します。しかし、そのような欠陥が材料にほとんどない時にも疲労破壊は起こります。その時に起点となるのが表面に形成されるすべり帯とよばれる凹凸です。疲労過程では繰返し応力が材料に負荷されます。理論的には降伏応力以下では材料は塑性変形しませんが、表面の応力集中や、局部的な偏析や結晶粒径の粗大化などにより、材料の局所的に降伏応力を超えて塑性変形を起こす箇所がでてきます。そうすると、表面付近ですべり運動が起きて、表面に細かい凹凸や段差が出来ます。一度表面に露出した段差の表面は酸化されてしまうため、逆方向の応力をかけても、全く同じ向きですべり運動は起きずに、別のすべり線から変形が起きます。この過程を図1に示します。これをすべり線、またはすべり線が集まった状態としてすべり帯と呼びます。この凹凸や段差が表面起点となって、ここから疲労破壊が進行していきます。
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