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エピソード-19

事実と意味づけ

 「人は解釈の世界で生きている」と言ってもいいくらい、我々は日々の出来事に無意識に意味づけや解釈をして生活しています。例えば、会議で自分の意見が通らなかった時に「邪魔された」とか「嫌われた」とか思ったことはありませんか?(もちろん、相手が本当にそのつもりで言う時もあります)。この時の出来事は「私の提案をあなたが断った」ということだけなのです。人はその時に色々な意味付や解釈を無意識にしてしまいます。そのため事実を事実としてとらえることが出来なくなってしまいます。もしかしたら、別の目的があったかもしれません。しかし、それを改めて確認することはないでしょう。

 意味づけや解釈の言葉としては「邪魔された」「嫌われた」「無視された」「余計なことするな」「面倒くさい」「出し抜かれた」など否定的な表現がほとんどです。そして、この意味づけの言葉の傾向は人によって変わるのです。先の例のように断られた時に「邪魔された」と思うのと、「嫌われた」と思うのは違います。これは個人の性格や状況などによっても変わります。

 自分がどのような意味づけをしているか気づくためには、過去の出来事を振り返ることもよいです。しかし、最も効果的なのは断られたその瞬間に自分の言葉を自覚することです。「あっ、今邪魔されたと思った」というようにです。そうすると意味づけではなくキチンと事実と向き合えるようになってきます。