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タイタニック号は低温脆性で沈没した

タイタニック号は1914年4月14日に処女航海中に氷山に衝突してわずか2時間20分後に沈没しました。この時、2,200人以上をのせていて、死者は1,500人以上にものぼり、当時の最大の海難事故となりました。これは溺れたというよりも低体温症で亡くなったのがほとんどです。この事故を材料的な観点から見てみたいと思います。

 

よく言われていることですが、衝突によってできた亀裂そのものはあまり大きくなかったです。穴の大きさとしては1.1から1.2平方メートル程度のようです。もちろんこの船体自体も低温脆性によって脆くなり、曲がったり、凹んだりするのではなく、脆性破壊が起きていたと思います。しかし、それよりも大きな問題は船板の接合です。船体の板の継ぎ目にはリベットという部品でつなぎ合わされていたのですが、このリベットが破損して船体のすき間から海水が入り込んで沈没したという説が有力です。このリベットですが、鉄製です。しかも、スラグなどの硫黄成分が多かったようです。ということは、まず、海水が氷点下だったためかなり低温環境でした。そこに硫黄成分の多いリベットが使用されていたため、通常よりもさらに低温脆性を起こしやすくなっていたでしょう。

 

ちなみに低温脆性という現象はこの当時認識されていませんでした。低温で鋼が脆くなることを知らなかったのです。低温脆性が認識されたのは、この約30年後のことです。