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金属材料基礎講座-2

結晶構造

 金属原子は規則的に並んでいる。その最小単位を結晶構造と呼ぶ。金属の結晶構造としては主に以下の3種類に分けられる。(1)体心立方格子(BCC)、(2)面心立方格子(FCC)、(3)六方最密格子(稠密六方格子ともいうHCP)である。主な金属の結晶構造は以下のとおりである。BCC:鉄(常温)、クロム、モリブデン、バナジウム、タングステンなど。FCC:アルミニウム、銅、銀、金、ニッケルなど。HCP:マグネシウム、チタン、亜鉛、コバルト、ジルコニウムなどである。

 

原子を球体と考えた場合、一つの原子の周りに接する他の原子の数(配位数)が最も多くなると12個の原子を周りに置くことが出来る。この状態を最密構造とよぶ。そしてFCCおよびHCPはこの最密構造をとる。両者の違いは最密原子面の並び方によるものである。結晶構造に占める原子の体積(充填率)はFCCおよびHCPはともに74%である。一方BCCは68%である。この違いが金属の特徴に大きく影響している。

 

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