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金属材料基礎講座-1

金属結合

 

金属を構成する物質の最小単位は原子である。例えば鉄原子やアルミニウム原子などである。原子の結合には主に金属結合、イオン結合、共有結合がある。そして金属はこの金属結合という結合方式をとる。

 

金属原子が近づき一定の距離になると、それぞれの原子がもつ電子軌道が重なる。そして、お互いに電子を出しあい、原子自身は陽イオンとなり、それぞれの電子が、それぞれの金属イオンの周りを自由に動くようになる。この電子は自由電子と呼ばれる。金属結合はこの金属陽イオンと自由電子の電気的な力によって結合している。

 

金属結合は金属の特徴と大きくかかわっている。金属結合では金属イオンや電子の並びに限定はなく、たとえ金属イオンの位置がずれても、すぐに他の金属イオンと再結合する。これによって金属は曲げや、変形(塑性加工)が出来るのである。また、自由電子は熱や電気をよく通す働きがある。そのため、金属は電気伝導や熱伝導に優れているのである。あるいは金属には金属光沢と呼ばれる特有の光沢がある。これは自由電子が光などの電磁波を全反射するために起きている。